快適な寝室づくりをしようとした時、普通は「マットレス(または敷布団)」や「枕」のことを思い浮かべがちですが、もし「快適な寝室づくりのコツは何ですか?」と聞かれたなら、私なら迷わずこう答えます。
「湿度に気を配ることです」と。
今回は、快適な寝室づくりにとって最も重要な「湿度コントロール」についてお話ししていきたいと思います。
湿度コントロールが重要な理由
快適な寝室をつくりあげるためには、注意すべきことが山のようにあります。
「体圧分散性」、「フィット感」、「アレルギー」、「感触のお好み」…などなど、挙げればきりがないほどありますが、しかし、それら全てに影響してくる、寝室の環境づくりの根幹ともいえるべきもの、それこそが「湿度」なのです。
湿度のバランスが悪ければ、ダイレクトに寝心地に影響するため、睡眠の質を左右するのです。
湿度が10%上がると、体感温度が1度上がる
湿度が10%上がると、体感温度が1度上がるのですが、1度室温が上がった理由が「温度は同じで湿度が上がったせい」なのか、「湿度は変わらず温度だけが上がった」せいなのか、正確に感じ取れる人はほとんどいないでしょう。
人間は温度の変化については生存本能と密接に関係しているため、僅かな差も機敏に感じ取れるものです。
しかし、「湿度」の感じ方はもっと曖昧で、機敏に感じ取ることができる「温度感覚」と混同してしまう場合が多いのです。
その証拠に、実際はお布団の中が蒸れている状態でも、人は「温度が暑い」と感じます。
そのように、「湿度」を温度と混同して感じてしまう場合が少なくないからこそ、対策が不十分になりがちで、不快さの原因を取り除けないでいる方が大勢いらっしゃいます。
湿度放置で発生する甚大な二次被害①〜カビ〜
湿度の本当の恐ろしさは、最終的に健康被害を引き起こす原因となる点なのです。
湿度を放置するとどうなるか…そうです。「カビ」が発生するのです。
抗菌・除菌が好きな国民性でありながら、湿度の高い国土に暮らしているせいか、カビ菌に対しては意外にもおおらかに構えている人が多い日本人ですが、カビは万病の元となる恐ろしいものです。
カビ(真菌)が引き起こす健康被害は数えきれないほどありますが、代表的なものを以下にまとめてみました。
・アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎
・気管支肺(肺アスペルギルス症)
・夏型過敏性肺炎
・喘息
・鼻炎
・発熱
・倦怠感
・免疫力の低下
カビの中でも最も恐ろしいのが「アスペルギルス・フミガータス」です。
毒性が強く、肺に根を張って繁殖し、肺の組織を破壊することで呼吸困難を引き起こします。
免疫力の弱い小さなお子さんや高齢者の場合は、肺だけに止まらず全身の組織が侵されて破壊されてしまい、重篤な場合は死に至るケースもあります。
また、その「アスペルギルス・フミガータス」が発生しないよう、一番注意しなければならない場所こそ、寝室だといわれているのです。
睡眠中過ごす場所なので滞在時間が長いこと、湿度がこもりやすいこと、ホコリがたまりやすいことなど、寝室にはカビが発生する原因が集中しているためです。
湿度放置で発生する甚大な二次被害②〜ダニの大量発生〜
湿度を放置すると、カビだけではなく、ダニも大量発生します。
ダニは湿度65%〜80%、温度20~30度の環境下で爆発的に繁殖するといわれていますが、湿度が高いとダニが大繁殖する理由の一つが、ダニが真菌=カビを餌にしているからなのです。
湿気コントロールをせず高湿状態が続く
↓
カビとダニが発生する
↓
ダニがカビを食べてさらに繁殖する
…これを見るだけでも、いかに湿度コントロールが大切かお分りいただけるのではないでしょうか。
69%だと、ちょっとしっとりしている程度。
不快でなくても高湿な場合があるので、対策のタイミングを逃さぬよう注意。
最新の敷寝具ほど、湿度コントロールが重要
近年、「体圧分散性」などの高機能を謳った敷布団やマットレスの中材の主流は「ウレタン」と「ポリエチレン」に2分されます。
この2種類の素材を使った商品でよく使われる宣伝文句が「通気性の良さ」です。
「ウレタン」も「ポリエチレン」も湿気を吸わない素材です。
だからこそ、「構造的に湿気を逃がす作りにしていますよ」ということなのですが
では、通常なら敷寝具が吸い取るはずだった湿気はどこへ行くのでしょうか?
答えは簡単。
敷寝具の下、つまり敷布団なら畳に、ベッドマットレスならベッドフレームに湿気がこもるということです。
でも、よく考えてみてください。
敷布団なら湿気が溜まっても天日干しできますし、ベッドマットレスならベッドパッドを敷いておけばパッドを干すことも洗う事もできますが、畳やベッドフレームは天日干しできるでしょうか?
畳やベッドフレームを干すなんて、現実的ではありませんよね。
しかも、畳やベッドフレーム(木製)は、湿気を放出するのが苦手です。
「ベッドの“すのこ”にカビが生える」なんて、とても恐ろしいことではありますが、日本では大して珍しいことではありません。
これこそが落とし穴なのです。
敷寝具の通気性が良くても、発生する湿気の量は変わらないし、敷寝具が吸うはずだった湿気が違うどこかに吸われるというだけのことなんです。
湿気対策=すのこは間違いです!
「湿気が多いから布団の下にすのこを敷く」という工夫をよく耳にしますが、すのこは木製ですので、桐やヒノキでもなければ水分を良く吸いますし、こまめに干さなければカビが生えます。
すのこで確保できるのは通風する空間だけであって、湿気除去の根本対策にはなりませんので注意が必要です。
カビが生えたものはすぐ処分!
カビが生えても干して使い続ける方や、使い続ける方がいらっしゃいますが、カビの生えたものを使い続けるのは危険なので絶対にやめて下さい。
カビの菌は根が深く、一度発生してしまうと根絶することは困難です。
カビ取り剤は塩素系の強力なものが多く、寝具に使われる大抵の素材の劣化・破壊を招くためです。
たとえ先週買ったばかりであっても、カビが生えたらすぐに使用するのをやめて、廃棄処分するしかありません。
湿気をコントロールする方法
では、実際に湿気をどのようにコントロールすればいいかといえば、答えは簡単。
「湿気を吸い取る」+「吸った湿気を干す(または捨てる)」。これに限ります。
そこで、湿気を吸い取るアイテムをご紹介いたします。
湿度コントロールに役立つおすすめ除湿グッズ
【送料無料】除湿パッド MU7840【シングル】
商品価格:¥ 10,800(参考価格)
コメント:
ウレタン素材のマットレスや敷布団の下に敷いて除湿するのに向いています。干せば繰り返し使えて経済的です。
【送料無料】除湿シート ドライでクリーン【サイズ選択可能】 ブルー
商品価格:¥ 3,758円(参考価格)
コメント:
寝具の除湿シートは「B型シリカゲル」を採用したものが多いですが、こちらはエコに配慮された天然パルプ由来の素材でしっかりと湿気を吸ってくれます。
ご自宅で洗濯機で丸洗いできるため、カビ対策にも有効です。
布団やマットレスの下ではなく、敷パッドとしても使えそうです。
パナソニック 衣類乾燥除湿機 ハイブリッド方式 ~25畳 シルキーシャンパン F-YHMX120-N
商品価格:¥ 46,800円(参考価格)
コメント:
除湿機なら、パナソニックのハイブリッド式一択です。
価格は高いですが性能が抜群に良いので、買って良かったと満足できる逸品です。
自宅でも使用していますが、梅雨のピーク時期でも適度な湿度状態を実現できています。
畳にお布団を敷いてお休みの場合は、畳が吸った湿気を取るために除湿機が有効です。
【番外編】空気中のカビ対策
シャープ 加湿空気清浄機 プラズマクラスター 13畳 / 空気清浄 23畳 ホワイト KC-G50-W
商品価格:¥15,800円(参考価格)
コメント:
HEPAフィルタ搭載で「アスペルギルス・フミガータス」もしっかりキャッチできます。
加湿空気清浄機なので、冬場乾燥する時期には加湿することもでき、尚かつ加湿タンクが引き出し式ではなく直立のタンク型なので、本体を横移動させた時に水が漏れにくいこともおすすめポイントです。
以上、今回は湿気対策についてお話ししてまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
改めて寝室を見直して見ると、新たな改善点を発見できるかもしれません。
お手入れの方法やアイテムの投入など、積極的に湿気対策に取り組んで、ぐっすり眠れる寝室づくりを目指してくださいね!
今回もここまでお読み頂き、ありがとうございました。
より専門的なアドバイスをご希望の方は…
寝室の環境は様々な要因が複雑に関係しあっているため、一つずつ精査しなければ正しく判断できない場合もあります。
色々な対策をしてもイマイチ快適な空間作ることができないとお悩みの場合は、是非当ラボのカウンセリングをご活用ください。